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date = "2020-06-01"
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title = "駅"
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slug = "05"
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type = "novel"
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キタムラは、銀河鉄道の車内に乗り込んだ。周りを見渡すと、座席は横に連なり、街灯のような明かりが薄ぼんやりと輝いている。
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宇宙の最先端科学が作り出した列車というより、そのへんを走るローカル線だった。
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ただ、太陽の光もあって、上は昼で下は夜みたいなへんてこな印象だ。
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キタムラがキョロキョロしていると、先程、出会った小さな女の子が乗り込んでいた。
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ドアが締まり、列車が走り出す。
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女の子は、アイという名前らしい。宇宙人であることを覗けば、普通の子供のように見える。
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乗客は少なくとも5人ほどだった。しかし、姿形(すがたかたち)がキタムラに近いのはアイだけのようだ。
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大きな丸顔をしたチビに、変なロボット、それに、タコみたいなのがいて、まさに宇宙人だ。
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するとアイは、無言でキタムラの横を通り過ぎ、近くの座席に座って、窓の外を見た。
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キタムラも故郷の星を最後に見ておくかと思い、アイの隣に座り、窓の外から故郷の星、フタネ星を見下ろした。
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ガラス板から見るのと全然違って面白い。
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この旅は不安も多いが、楽しめそうだと、キタムラの胸はワクワクでいっぱいだった。
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最初の数週間は、キタムラの期待通りで、非常にエキサイティング。銀河鉄道はまさに宇宙の旅路だった。
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列車は数日に一度、駅に停車した。
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キタムラは、各駅を見るのが楽しみだった。ただ、その多くは、普通の駅のように見えた。
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それでも、フタネ星の大都市にある駅のさらに未来を連想させるような、きれいな駅が多かった。
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稀にとても変わった駅もあった。
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例えば、鍾乳石(しょうにゅうせき)が不気味に光る洞窟のような駅や、まるで絵本の中の雲の上にいるように感じさせる駅など。
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キタムラは洞窟が好きだったので、一旦、その駅のホームに降り立ち、少しの間、ホームでくつろいだりもした。
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発車する前に戻るつもりではあったが、そのままドアが閉まったら閉まったでそれもいいかもしれないという気持ちも多少あった。
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しかし、結局、キタムラは、洞窟を少し見学し、そこに居合わせたおじさんと立ち話をして、車内に戻った。
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そんな感じで、最初の数週間、キタムラは大いに銀河鉄道を楽しんだ。
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