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date = "2016-06-10"
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tags = ["none"]
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title = "置き去りにされた子の話"
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slug = "private"
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## 置き去りにされた子の話
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最近、話題になってたニュースというと、置き去りにされた子が行方不明になったという感じの話でした。
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今回は、これについて個人的な考えを述べます。
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まず、世間の反応については予想通りでした。
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親よりも子供への批判が大きかった気がしますし、親への同情的な意見も目立ちました。
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こういう世論がどういったように形成されているのかというと、多くの場合、「立場」によって形成されています。
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したがって、多くの人間がどういった立場にあるかを創造することで将来予測される反応が見てとれます。
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今回の場合、数が多い「親」の立場に近い人達が多かったのでこういう反応になったのだろうと思いましたし、そうなるだろうと予想もしていました。
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つまり、親の立場から事件を見て、考えて、そして親を擁護し、共感したわけです。
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反対に言うことを聞かない子供を批判したり。こっちはあくまで本音を出した人達の意見だと思いますが。
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そして、これがデフォルトであり、社会性を持った人間に最も起こりやすい反応の一つだと思います。
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私は、これからこのような傾向はさらに強まっていくと見ています。
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通常、人は自分の立場からしかものを考えません。
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いや、正確に言うと、自分に最も近い立場からしかものを考えないということです。
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立場が遠ければ遠いほど、他人への配慮や優先順位は低くなります。
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つまり、何が正しいかではなく、どうすれば世の中は良くなるかではなく、多くの人は、自分にとって都合の良いものは何か、有利な言論は何かでものを考え、行動し、結論を出すだろうということです。
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いや、別に悪いことではないですよ。ただ、長い目で見た場合、どうなんだろうとは思います。私もそうですが、短い目で見た結論を出し、目の前の結論に飛びつく傾向にあります。上記も短い目で見た場合のパターンだと考えていただければ幸いです。
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私は、こういった傾向が顕著に現れたことに対して、少し寂しく思いました。
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もちろん、これに抵抗する人も多少はいました。
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抵抗する人というのは、例えば、自分の立場が親であり、かつ一定の年齢を超えているにも関わらず、親の行動を批判した人達です。
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ただ、そういった意見は、私が見る限りでは、結果として炎上していました。
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親の気持ちも考えろ、親は大変なんだ、子供が悪い、などなど。
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しかし、私の中では、親も子もありませんから、この件については特に感想と呼べるほどのものはありませんでした。
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人は人です。人は存在です。存在は全てです。人以外のものもすべて何も変わらずただの存在です。なんか話があらぬ方向に行ってしまいそうですが、要は「細かいことは気にするな」って感じなのでしょう。親だ、子だなんて細かすぎます。
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私は親であろうとなんだろうと、その本質は子供の頃から何も変わっていないとそう考えます。
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なので、区別する意味がありません。
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単に立場が人をそうさせているだけです。世間的な、社会的な立場がです。
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しかし、本質は違いますよね。あなたはどうですか。あなたの本音は完全に世間的な、社会的な規範に合致していますか。
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こういう言葉があります。
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「親だって、人間なんだ」
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時には怒りたい時も、泣きたい時もあるでしょう。だって、人間なんだから。
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この言葉が意味することは「その人の心は世間的、社会的な立場とは異なる所にある」ってことです。
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私達が本来捉えるべきものは、個々人の立場ではなく、個々人の本質であり、心です。
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だって、立場って誰でも分かりますし、見えますからね。そんなことを頑張って捉えても意味無いです。
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なので、まあ、特に区別して考えていませんでした。親であるべき行動、子供であるべき行動のうち今回どちらが問題だったか、なんて考えていませんでした。
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そうはいっても多少、私が思ったことは「似たもの親子」ってことでしょうか。
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分かりやすく親子を区別して語りますが、親は最初に「山菜採りを行方不明になった」と報告していたそうです。
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気持ちはわかります。余りに大事件になってしまって、内心、とても辛かったんだと思います。
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もし自分がこの立場なら「やばい、まじやばい、どうしよう...」って感じで頭真っ白でしょうね。
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ただ、嘘はいけません...。そして、親が子供を叱りつけるなんて、考えて見ればおかしな話なのかもしれません。
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そして、子も子で、山道で置いてけぼりにされたのは、多分、「嘘」をついた結果ではないでしょうか。
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端的に言うと、悪さをして叱られたってことです。
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ただ、こちらも嘘はいけません...。
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まあ、個人的には嘘なんて状況や環境によるところが大きく、人に嘘をつかせる環境が問題なのであって、環境を変えないかぎり、問題は解決しないだろうって思います。なので、本来的には、「嘘がいけない」なんて思ってなかったりもしますが。
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話を戻します。似たもの親子の話でした。
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さて、今回、どちらの人(親、子)も人騒がせだったので、客観的に見ると、なんかこの二人はとても似てる感じはしましたね。個人的には。
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親であろうと、子であろうと、特定の状況下では人は嘘をついてしまいますよ。だって、人間なんですから...。
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まあ、そんな風に思ったのでした。でも見つかってよかったですね。どちらにとっても。
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次に、あまり本質的ではない話を補足的に行います。
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私が今回事件を見て感じたのは、もう一つ、法律的な観点から見た話です。
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法律では、刑法に保護責任者遺棄(刑法217条~219条等)が規定されています。
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保護責任者遺棄罪の実行行為は、(1)わざと人が来ないような山道に持ってった場合と、(2)不作為的に置き去りにした場合の2つが該当すると考えます。遺棄と置き去り。
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本件では、後者の置き去りに当たりますね。
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そして、もし結果が発生してしまったら、例えば、自らが保護責任を負う子供が死亡した場合は、保護責任者遺棄致死罪にあたります。より重いです。
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つまり、場合によっては刑罰に問われかねない行為だということです。
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ただし、故意があったか、なかったかというと、ないと判断されそうですから、保護責任者遺棄は不成立ですね。私は、そう考えます。
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ここで、故意というのは、殆どの場合、客観的事情から推察されます。心のなかで何を考えていたかなんて分からないからです。
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したがって、もし保護責任者遺棄罪の成立を検討する場合、その構成要件(特に故意)は「どのような場所で、どのような時間帯に、どのように置き去りにしたか」など客観的な事情から、故意があったか、なかったか推察されることになるだろうと思います。
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この点、本件では、親の意見として「しばらくして戻ったけど、子供は居なくなってた」とのことでした。ニュースを見た限り。
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したがって、もしこの話が本当なら「故意はなかった」と判断されます。故意に置き去りにした場合、通常は戻りませんから。(ただし、中止犯の場合は別ですが、これについては省略します)
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そして、「しばらくして戻った」という主張があったとして、これが本当かどうかの立証責任は検察側にあります。
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つまり、「しばらくしても戻ってなかった」ということを証明しないかぎり、故意は認められず犯罪は不成立で、かつ起訴することすら難しいと考えられます。
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したがって、私は、総合的に考えて保護責任者遺棄罪として本件を捉えるのはちょっと無理があるなーと適当に考えてました。
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まあ、的外れ意見ですが、そんな感じでニュースを見てました。(私が見る限りでは、誰も保護責任者遺棄罪に言及してなかった)
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今回、何がいいたいのかというと、大多数の考えは立場によって構築される傾向にあるということと、刑事罰が成立するまでには長い道のりがあるって感じです。
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